2次記述の指標
診断士2次は、公式解答が公表されない試験です。
ですから、正解のない設問に対しどう記述すべきか、指標がほぼありません。
なので昨年の受験者の解答とおそろいにしておけば良いとする参考書が売れることになります。
難点は、いくら去年の高得点解答を真似しても今年の問題に対処できる保証がないことです。
最低でも採点者にウンと言わせること
問題文の制約条件の範囲内なら、何を書いても自由です。
与件中のキーワードを全部使おうと使うまいと構いません。
しかし絶対に外してならないのは、採点者を一応納得させるロジックがあるかという点です。
実施が困難だったり、論理が繋がってないことを記述してはマズイと思います。
平成30年の本試験の事例Ⅱ第3問の実際の思考を再現してみます。
問題文の制約条件は、①従業員と宿泊客の交流を原因とすること②おもてなしであること③ネット上の好意的な口コミを誘発することでした。
筆者の当初の発想は、英語に堪能なバイト1名に近隣街並みや店舗ツアーを実施させることでした。
これを因果関係にまとめると(原因理由)バイトがスイーツや名刹を案内→(結果)写真がSNSにアップされることになります。
ここで徹底的に突っ込みを入れることをします。
・バイトが休みだったら、ツアーが出来ないことになる。サービスに斑が生じる。
・1名のバイトに過大な負荷を負わせるのではないか。
・口コミはスイーツや名刹であって、B社旅館に対してではないのではないか。
・ツアーだけでは交流としては弱いのではないか。
・ツアーに行きたくない客におもてなしとならないのではないか。
そこで、英語に堪能な従業員はカットし、以上を満たす論理に組みなおしました。
・まず、宿泊客に観光プランを聞く。(英語力は従業員全員につける前提)
・客の意図に合わせて、必要な交通情報・店舗開店時間・料金・利用方法などのプランを一緒に考えてあげる。
・近隣なら、従業員が店舗まで案内する。
・おもてなしが気に入った客は旅館や従業員の写真をSNS等にアップする。
これなら、一応採点者をなるほどと言わせられるだろうと試験時間中には考えました。
上記の情報を圧縮し指定文字数に収め、解答としました。
得点は66点であまり振るいませんでしたが、合格点を超えたから良しとします。
受験者の方が過去問をするときには、書きあがった解答が成り立つか、徹底的に検証するべきです。
成り立たなければ、成り立つまで修正する訓練をすべきです。
筆者は購入したことはありませんし、推奨もしませんが、ふぞろいを使うならその最高点の答案にも突っ込みを入れて、自分の解答とどちらか良いほうを採用するべきです。
2次記述の手掛かりは口述試験にあった
このことに気づいたのは記述式を通過した後の口述試験の席上でした。
受験者が試験官と直接接触できるのは、口述試験の席上しかありません。
口述試験は合格率がほぼ100%の試験です。
その合否基準は、「質問に対し、一応成程といえる回答がある事」のように思えました。
ほぼ全員通過の口述でさえ試験官を納得させる必要があるのですから、記述では最低クリアしなければならない指標であると確信した次第です。
今年の受験者の方のご参考になれば幸いです。