リスケ企業を排除しない
今回の新型コロナ感染症にかかる特別貸付の審査基準の特徴を解説します。
過去にリーマンショックや東日本大震災などで、政府は特別貸付を措置して来ましたが、今回の中小企業への影響はそれらを上回っています。
なので制度開始の当初から、既往借入の条件変更(リスケ)があっても審査から排除しない旨、経済産業省のホームページに明記されていました。
実際、これに沿って日本公庫がリスケ先に特別貸付を実行した例をネットで見ました。
資金繰りの6段階
一般的に企業の資金繰りの余裕度は、以下ように借入金の弁済状況で判別できます。
①無借金
②追加借入なしで借入金を元金均等分割弁済可能
③時々反復借入をすることにより、元金均等分割弁済可能
④約定弁済が困難となり、元金弁済額を緩和(リスケ)、利息は弁済
⑤元金弁済が困難となり、元金全額棚上げ、利息のみ弁済
⑥利払い困難となり借入金延滞
以上のように番号が進むほど資金繰りは厳しいと見られます。
見方によっては、④に至ると金融機関に新規借入を申し込んでも断られると思われます。
理由は、既往借入が分割弁済困難なので、新規借入を増やすと、余計弁済困難になるからです。
危機対応時の弁済の考え方
世間の中小企業は①〜③の状況とは限りません。
新型コロナ発生前から④〜⑥の企業も珍しく無いと思います。
日本公庫の判断はわかりませんが、今回融資が実施されているのはDIPファイナンス(破綻が顕在化してからの借入)の考え方に近いのでは、と想像しています。
⑥を除き、既往借入は返済を棚上げし、特別貸付を優先的に分割弁済し、既往借入はその後に弁済するというものです。
弁済期間が超長期化しますが、足元の危機を乗り切る為の有効な方法だと考えます。
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