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クリスキットの至福と音質

クリスキットとは

かつて神戸で企業経営されていた桝谷英哉氏(故人)がそのご趣味が嵩じて開発販売されたステレオアンプのパーツセットです。

当初は真空管式でしたが、増幅用トランジスタの発展に伴い、ソリッドステート式に衣替えされました。

パーツセットとは、部品と電線と筐体のセットであり、いわゆるキットに当たります。

筆者は若い頃頃電子工作を趣味としていましたので、難なく組み立てすることが出来ました。

筆者は40年に渡りプリアンプとパワーアンプを愛用しており、一時はシリーズの120リットルのスピーカーボックスまで使用していました。

残念なことに販売は終了しています。

 

オーディオ業界の構造と音質

電子部品メーカーは、毎年のようにコストダウンを迫られています。

ついにはコストが削りきれず、ほとんどのメーカーが海外に流出することになりました。

オーディオメーカーも同様、利益確保に腐心し、ついにアンプ全部を一つのIC化してミニコンポとするしか生き残りが出来なくなっています。

コストダウンにより音質は置き去りとなり、趣味レベルの音は期待できません。

 

クリスキットの設計思想

電子部品をパーツセットで販売すれば、アンプの製造コスト分を部品原価に配分できます。

抵抗器1本を以前筆者が使用していたSONYのプリメインアンプと比べると40倍の価格差がありました。

コストダウンと無縁の抵抗器のため熱雑音の発生に明らかな相違があります。


また、部品点数が驚くほど少なくなっています。

トーンコントロール回路を省いたほか、パワーアンプの設計出力を35Wに押さえ、過剰な増幅を避けているからです。

但しICは一個も使用しない完全ディスクリートが前提の話です。

パワーアンプ最終段のパワートランジスターはUFOを思わせる形状で存在感があります。

 

配線にシールド線を全く使っておらず、全部リード線です。

筐体内で信号が飛び付くのではと心配しましたが、余計な線間容量がないせいか、スッキリした音質です。

 

パワーアンプの構成はいわゆるACアンプで音声ラインに直列にタンタルコンデンサーが入っています。

DCアンプとどちらが良いか議論はありますが、SONYのアンプの出力が1Vもドリフトしていたことから、DCアンプは使わないことにしました。

 

まとめると、余計なものを取り除き、合理的な範囲内でのコストを掛けた部品が高音質を産んでいることになります。

 

音質の特徴

クラシックやジャズに最適な音質です。
ボーカルも自然な感じの仕上がりとなっています。
片チャンネル僅か数個のトランジスターしか通さない素直な音質は、決して集積回路では味わえません。
完全にオリジナル部品のままで使用を続けてきましたが、さすがに可変抵抗がガリオーム気味になって来ました。
部品の交換をすべきか思案中です。
 
 
 

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※参考文献
ステレオ装置の合理的なまとめ方と作り方  桝谷英哉著  大盛堂書店
オーディオ・マニアが頼りにする本(1~3巻)  桝谷英哉著 青年書館