政府系一巡
昨日の日経朝刊に、「国際協力銀行」が取り上げられ、今回の危機での政府系金融機関が一通り登場しました。
「ドルで1兆円低利融資枠」から引用しつつ、解説します。
国際協力銀行はお貴族
「これまで外為特会を使った融資は全体の半分までしか認められなかった」
→為替介入の役割を終えた外為特会を温存する理由がこんなところにあったのですね。
「資金繰りが厳しくなった企業に1年超の運転資金を供給する」
→直近の同行年次報告書によると、中小企業(中堅企業を含む)に対する融資件数は60件と申し訳程度です。
海外投資を手掛ける機関ですので、中小企業には縁遠い感じです。
筆者が足を運んだ数少ない経験からの感触ですが、国際協力銀行(JBIC)は、まるで貴族のような銀行です。
かつての輸出入銀行(輸銀)時代から、職員は高貴さを漂わせていました。
政府系金融改革で、日本政策金融公庫の一部門として統合された過去があります。
余程悔しかったのか、程なく再び独立されました。
国策担う政投銀
「大企業向けに日本政策投資銀行の危機対応融資を増やしている」
→日経は、政投銀の融資対象から中小企業を除いています。制度上は違うのですが、事実上は妥当です。財務省より、新型コロナの危機対応融資3月実績の中堅・大企業分が公表されています。政投銀4件ともう一つの取扱機関商工中金は0件でした。なぜか中小企業向けの実績は中小企業庁が公表しており、政投銀は0件です。中小企業に融資しない批判をかわす狙いではと邪推しています。しばらく後に実績が出たら、リポートしたいと思っています。
政投銀が危機対応融資に積極的ではないのは、以下に述べる公庫の信用供与を受ける仕組みが要因だと思います。
元々国の直轄銀行ですから、公庫の軍門に降るのを避けたいのではないでしょうか。
かつての日本開発銀行(開銀)時代から、国の基幹産業への融資を実施して来ました。
その後、なぜかホテル融資に邁進し、故加藤寛先生の講義では「ホテル開発銀行」の異名を取ると聞いた事があります。
現在、旅館業を含む中小企業の資金繰りは潰滅的な状況にあり、再び融資を願いたいものです。
中小企業金融の元締めは公庫
「政府は日本政策金融公庫など」「を通じ」「中小企業などへの実質無利子融資を拡大」
→全部が中小企業向けではありませんが、直接貸付の3月実績は60千件でした。
直接貸付以外に民間銀行の実質無利子貸付、保証協会の再保険の一部、危機対応融資の損害担保が、全て公庫に集中します。
公庫は中小企業金融の元締めと言って良いと思います。
金融総出で対処の時
各機関に諸々の歴史と事情はあると思います。
現在の危機時には、官民を問わず、金融機関には出動が求められています。
将来実績が判明したら、検証したいと思っています。
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