事例問題に対峙するには師が要る
中小企業診断士試験で難関は何といっても2次記述です。
事例Ⅰ~Ⅳまで4問出題されます。
特に事例Ⅰ~Ⅲは、問題文に提示された事例企業に即して解答することが求められます。
目指すべき解答の根本は、経営者への助言です。
経営者の心に響く助言を記述するためには、有能な経営者に話を聞き、その知恵を請い、師と仰ぐことが最高の試験対策と筆者は考えます。
実際平成30年の本試験でも事例毎に筆者には師と想定する方々がいました。
今回は、この点につきご紹介したいと思います。
なお、事例Ⅳは財務会計分野のため、知識重視でも得点可能です。
特段の工夫は要らないかも知れません。
これから診断士2次を受験される方のご参考になれば幸いです。
事例Ⅰ
事例Ⅰの師はX元会長です。
X氏は創業した企業を1代で上場まで育てられました。
次々と異業種を買収され、巨万の富を手にされ、引退されました。
診断士受験者であれば、ここに実名を記せばご存知だとおもわれる方です。
経営ぶりは破天荒と言ってもよく、一言でいえば常に「今市場にない価値を創造する」経営でした。
技術者集団は、現在市場に無い物を作り出すことに意義があります。
特筆すべきは、億万長者となられた後も、創業当時に世話になった指導機関に感謝の気持ちを持ち続けられていたことです。
このような経営者にお話を聞けて幸運でした。
この感謝の気持ちを表す方法は記述式で書くことしか筆者にはありません。
試験当日、問題文を読む前からこの師の経営理念を解答に入れ込もうと決めていました。
事例Ⅰで上手く織り込ませることが出来、そのお陰で73点を取ることが出来ました。
事例Ⅱ
事例Ⅱは旅館業でした。
旅館業の師はY社長です。
Y社長は、若輩者の私に旅館の要諦を教えてくださいました。
経営資源の範囲内でサービスを最大に付加し、コストを如何に絞り込むかがポイントです。
しかも他の同業者にノウハウを伝えてもよいという有難いお言葉も頂きました。
コンサルティングの貴重なネタとなっています。
本試験では、その一部を活用し解答に仕上げました。
得点は66点でした。
事例Ⅲ
事例Ⅲの製造業の師はZ社長です。
Z社長は大企業の工場長経験者で、生産管理の肝を教えていただきました。
診断士の経営管理の理論を勉強してみて、社長の仰っていたことがやっと理解できるようになってきました。
ひとことだけ記すとしたら、「歩留まりと平準化」です。
Z社長の口癖は、「業種が変わっても、生産管理の基本は同じ」ということでした。
本試験の業種はZ社長の会社とは異なりましたが、解答を何とか記述しました。
得点が53点と振るわなかったのは、ひとえに筆者のその後の鍛錬不足というほかありません。
申し訳ない限りです。
正答の源泉
出題者も中小企業の経営の実態を調べて作問していると想像できます。
ならば、受験者も経営者からの一次情報を取得することが最も正解に近いはずです。
テキストや学者の著作物・白書・事例集のような二次情報は重要なエッセンスが欠落している可能性があります。
ましてや資格予備校でどこまで教えてもらえるでしょうか。
事例Ⅰ~Ⅲを平均すると合格基準の60点を超えました。
これは、ひとえに3名の経営者からの賜物でした。
このご恩には、今後中小企業診断士として多少とも報いて行きたいと思っています。